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Always All Ways Archive

Archive Imported from Always All Ways on Plala

『アプレンティスシップ・パターン――徒弟制度に学ぶ熟練技術者の技と心得』

7月7日発売予定の『アプレンティスシップ・パターン』をいただいたので、まずはざっと読んでみた感想などを少し書いてみる。

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まず、本書のタイトルにある「アプレンティスシップ」とは何か?そしてこの本はどういう本なのか?それについては、本書の裏表紙にある説明文をそのまま引用しておく。

アプレンティスシップとは「徒弟制度」のことで、中世ヨーロッパに広く普及した職人の組合「ギルド」で用いられていた職人養成制度です。アプレンティス (徒弟)のほか、ジャーニーマン、熟練職人と、技術習熟度により段階分けされ、職人は仕事と心がけを学びながら技を習得し、日々腕を磨きました。本書は、 徒弟制度をモデルとし、真のソフトウェア熟練職人を目指すためのパターンをまとめたものです。新しい技術の登場と絶え間ない変化に柔軟に対応し、ソフト ウェア開発を生涯の仕事とするための心得とパターンを紹介します。意欲ある新人ソフトウェア開発者、またソフトウェアの匠を目指す技術者必携の一冊です。

このあたりは、先日、訳者の柴田芳樹さんが講演で岡山に来られた際に聴いた「若手が外で学んできたことを、仕事の現場できちんと指導のできる先輩や上司の存在が重要」という話とも微妙に頭の中ではつながるのではあるが、この本は徒弟制度で言うところの親方(?)の側ではなく、アプレンティス(徒弟)の側に向けて書かれていることが特徴である。

さて、タイトルの通り「パターン・ランゲージ」で書かれていること、Ward Cunninghamが冒頭の「本書によせて」を書いていることなど、「萌え」ポイントはいろいろあるが、ここでは、私が個人的に気に入っている(あるいは常に心に留めておきたいと思っている)パターンを2つだけピックアップしておく。

Be the Worst

このフレーズを聞いてピン!とくるあなたは、きっとJazzファンであるか、『アジャイルプラクティス』(あるいは、"My Job Went to India"か?)好きであるかのどちらかであろう。そう、これは伝説のジャズ・ギタリストPat Methenyのインタビューからの引用である。

"I have one kind of stock response that I use, which I feel is really good. And it's "always be the worst guy in every band you're in." If you're the best guy there, you need to be in a different band. And I think that works for almost everything that's out there as well."
(REFLECTIONS FROM METHENY on JamBase)
http://www.jambase.com/Articles/5933/REFLECTIONS-FROM-METHENY/3

本書で特筆すべき点は、"Be the Worst"を一つのパターンとして挙げているだけでなく、他のパターンでそれを補うことの重要性を併せて記述しているところである。その部分を本文から引用しておく。

最低のメンバーとしてチームに意図的に加わることには、自己中心的な面があります。そうでないようにするためには、最低であるBe the Worst)ことを、床を拭くSweep the Floor)と具体的スキルConcrete Skills)で補ってください。床を拭くSweep the Floor)とは、プロジェクトに直接価値を付加するために、雑用を意識して探すことです。具体的スキルConcrete Skills)を伸ばすことは、開発に対するあなたの貢献を増やすことであり、アプレンティスとしてのあなたの役割にとっては基本です。(p.82)

The White Belt

このパターンをはじめとする第2章のパターンのいくつかは、一言で言うと、「アンラーニング」の重要性に言及しているということになろうか。

学習を通じて得た自信を維持しながら、新たな状況に立ち向かう際には、以前の知識を脇に退けてください。Yodaが「帝国の逆襲」(The Empire Strikes Back)で賢明にも述べたように、「あなたは学んだことを忘れなければなりません」。(p.28)


他にも本書には役に立つパターンが満載である。それらは、学習を続けるための「心構え」であり、また、自らが主体的に学習を続ける環境を作り出していくための大いなるヒントでもある。周りの環境や会社の中がどうだの、上司や先輩がどうだの、そんなことではなくて、結局は自分自身なんだよ。