認定スクラムマスターへの道(その2)
昨日のエントリーの続編。
首尾よく会社からの補助も出て金銭面での障害がなくなったとして、次に来るのは(本当は逆かもしれないが)、果たして自分がこの研修を受講するだけの前提知識や経験を持っているのだろうか?という心配かもしれない。なぜならばコース概要を読むと、「当コースはスクラムの基礎知識をもちおよびスクラム経験を前提としますが、」などと書かれているからである。全くの基礎・入門から学ぼうとする人はこれだけ読むとちょっと怯むかもしれない。
確かに、知識や経験があるに越したことはないが、私の感触では、前提知識として、Ken Schwaberの『スクラム入門 アジャイルプロジェクトマネジメント』の一冊でも読んでおけば十分に研修の内容は理解できる。さらに言えば、XPの各種プラクティスなどのアジャイル開発の実践経験も「必ずしも」必要ではないし、極端に言えばプログラミングの経験さえなくても良いかもしれない。(言いすぎか?)
ここでもう一度、コース概要をよく読んでほしい。「スクラムマスターの視点を中心に指導しますが、チームメンバー、プロダクトオーナーまたはプロジェクトにかかわる経営者にも有益な研修内容です。」と書いてあるではないか!プロダクトオーナーも経営者もみんなとりあえずCSM研修を受ければいいのである。
さらに私の個人的な見解で暴走気味に述べるとしたら、ユーザ企業でプロダクトオーナーのような立場に近い人や、経営者、あるいはシステム開発会社でプロジェクトマネジメントなどをやっている人、そういう人にこそ、この研修を受けて欲しいのである。ざっくりとした感覚論で恐縮ではあるが、ある組織にScrumを導入しようとした場合、Scrumを熟知したエンジニア/開発者が10人いるよりも、Scrumに理解のあるマネージャや経営者が1人いた方が、何十倍のスピードでScrumの導入と組織の変革を進めることができると私は思っている。(それがうまくいくかどうかはまた別の話だが。)
ということで、結論としては、前提知識や経験はそれほど重要ではない。重要なのは、この研修で学んだことを現場でどう活かすかであり、また、その情熱をいかに持ち続けるかということではないかと思う。
最後になるが、偶然にも私のこの連載と時を同じくして@Mr_K_Oさんが、
「月を目指して(1)〜CSM研修について上司へメールを出してみた〜」
というエントリをブログに書かれていたので、ここに紹介しておく。
正攻法で、かつ日本と世界のおけるアジャイルの状況から自社の置かれた状況まで客観的なデータを示しながら書かれている。控えめな表現の中に熱い思いが秘められている素晴らしいレターだと思う。よい結果が出ることを祈る。